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こころを作る


富本憲吉展 京都近代美術館
奈良県生駒郡安堵村出身の陶芸家。「模様より模様を造らず」
会場で、「安堵村ってどこだ?」と言う声がきこえた。今は生駒郡安堵町。法隆寺のある斑鳩町のとなりに位置する。だから、法隆寺や法輪寺など古寺をモチーフにしてもよさそうなのに、それとは逆の方向に歩いて、竹林月夜などを描いている。しかも初期の作品からずっとモチーフとして使い続けている。今ある風景の不確かさをとどめるかのようでもある。(その風景がのこっているか、今度確かめようとは思っている。)

多産。作陶していないときは、スケッチか文章をとどめている。止まっていない。
しかし、作り急ぐことはなく、弟子をとるにあたっても、「先へ先へ作るのではなく、まずこころをつくる」ということを示唆している。作品を作り始めた初期から、創作理念などは非常にはっきりしていたように感じる。

写真で、自作の湯飲みにお茶を入れている姿があったが、急須も湯飲みも自作のものだった。当たり前かもしれないけれど、豊かさに羨ましくなる。富本作品を使えることが羨ましいのではなく、自分の気に入ったものを土から選んでつくりあげ、それに茶の葉をいれ湯を注ぐことのふくらむ思い、それを感じられることの豊かさである。

作品だから、手に触れられないのはわかっているが、それでも、陶器は視覚だけでなく触覚で楽しめるものだと思う。きっと、ふたをする音、手にとったときの世界のひろがりとかを計算して作っていたのではないだろうか。と思った。
あと、デザイン的なものの変遷を重視した展示だったように感じられたが、内面がどのように思考し、作陶したのかも興味深かった。
9/10まで


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