より深く、より確かに
「デッドエンドの思い出」よしもとばなな
文春文庫
5つの短篇集
「ともちゃんの幸せ」が印象的。生きていれば約束されるものなど何もない。とんでめない理不尽なことだらけなのに、それなのに神様はなにもしてくれない。
「私は、あったかいもののほうを大切にする、ちゃんとこういうからくりを見破ることができる男の人を捜そう、絶対いるはずだから」
でもそれはおそらく、自分もそういう目をもつことで、ときには自ら命断ちたくなるほどしんどいことなのかもしれんのだ。
「デッドエンドの思い出」も喪失から出発、矛盾の中で見失わない自己の世界がこの作家さんの昔からあるスタイルだと思うが、今は確かに、より繊細に深く相手に届くように感じる
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